株式会社マスクフジコー

風邪ウイルスの謎を解く

風邪ウイルス

現代社会に生きる我々が、一度は経験したことがある「風邪」。風邪をひくと喉が痛くなり、鼻水が止まらず、時には熱が出てしまうこともあります。しかし、一口に「風邪」と言っても、その原因となるウイルスはさまざまです。今回は、一般的な風邪ウイルスからインフルエンザウイルス、さらに近年注目を浴びる新型コロナウイルスまで、それぞれの特性と違いについて解説します。

ウイルスの「種類」と「株」

ウイルスの話にではウイルスの「種類」やウイルスの「株」といった言葉を耳にします。
ウイルスの「種類」とは、ウイルスを分類する際の大きなカテゴリーです。ウイルスの種類は遺伝情報や形態、宿主への感染能力、感染経路などに基づいて分類されます。例えば、インフルエンザウイルス、エボラウイルス、ノロウイルスなどが「種類」に該当します。ウイルスの種類は、他のウイルスとの大きな差異に基づいて分けられており、それぞれに特有の特性や病原性があります。
一方、ウイルスの「株」は、同じ種類のウイルスの中でも、遺伝的または特徴的に異なる集団を指します。例えば、インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型がありますが、それらの中でもさらに異なる株が存在します。株の違いは、遺伝的な変異によって生じることが多く、病原性や感染力、ワクチンに対する反応性などが変わる場合があります。インフルエンザウイルスで毎年新しいワクチンが開発されるのは、新しい株が出現するためです。

ウイルスの種類と株のイメージ

簡単に言えば、「種類」はウイルスの大分類を指し、「株」はその中で細かく分類されたグループです。

1. 一般的な風邪ウイルス

風邪ウイルスは、私たちの体内に忍び込む厄介者です。実に200種類以上もの種類があり、その多様性には驚かされます。その中でも冬の風邪の多くは「ライノウイルス」と呼ばれるウイルスが原因です。

風邪のメカニズム

一般的に風邪の症状はウイルスが鼻や喉の粘膜に付着し、細胞に侵入します。その後1〜3日間潜伏期があり、ウイルスが増殖を始めます。ウイルス感染を検知した体は防御反応を開始します。発症期(2〜5日目)は免疫システムがウイルスを攻撃するとともに炎症反応が起こります。この過程で発熱、鼻水、喉の痛み、くしゃみ、咳などの症状が現れます。これらは体がウイルスと戦っているサインと考えられます。多くの場合は、風邪は1週間程度で自然に回復します。免疫系がウイルスを排除し、症状は徐々に軽くなります。
免疫記憶が形成されるため、同じウイルスに再度感染するリスクが軽減されますが、風邪ウイルスは多様であるため、新しい株に感染するリスクがあります。

2. インフルエンザウイルス

次に、毎年冬に猛威を奮うインフルエンザウイルスについてです。インフルエンザは、A型、B型、C型の3つの型に分類されますが、ほとんどの流行はA型とB型によるものです。このウイルスは症状が重くなることがあり、高熱、筋肉痛、関節痛などが特徴です。特に高齢者や基礎疾患を持つ人にとっては、命に関わることもあります。

インフルエンザウイルスは頻繁に変異を繰り返し、そのため毎年新しいワクチンが必要となります。インフルエンザの流行は南半球と北半球で季節が逆転するため、地球規模で見ると年中どこかで発生していると言えます。

ついに日本上陸。注目のインフルエンザ生ワクチン「フルミスト」

インフルエンザに関しては予防接種を打つ方も多くいらっしゃると思いますが、日本では今年(2024年)からフルミストと呼ばれる鼻から吸入するタイプのインフルエンザワクチンが登場しました。(現在日本では2歳〜18歳が対象年齢とされています)
従来の注射型インフルエンザワクチンは不活性化ワクチンなのに対し、フルミストは生ワクチンが使用されています
不活性化ワクチンは、病原体(ウイルスや細菌など)を化学的または物理的な方法で死滅させて使用するワクチンです。このため、病気を引き起こすリスクがなく、安全性が高いとされています。不活性化ワクチンは複数回の接種が必要になることが多く、免疫反応を維持・強化するために追加接種(ブースター接種)が求められることがあります。
一方生ワクチンは、病原体を弱毒化(毒性を大幅に弱める)した形で使用するワクチンです。これにより、免疫系が病気に対して強力な反応を引き起こし、長期間にわたる免疫をつけることができます。生ワクチンは通常、1回の接種で長期の免疫効果を得られることが多いですが、免疫力が低下している人や特定の疾患を持つ人には注意が必要です。
このような違いがあるため、フルミストは少ない接種回数で効果の持続期間も長くなるとされています。

フルミスト

3. 新型コロナウイルス

最後に、最近の世界的な話題の中心である新型コロナウイルスです。コロナウイルスはもともと風邪の原因ウイルスの一種と考えられていましたが、SARS、MERS、そしてCOVID-19といった重篤な呼吸器感染症を引き起こす型もあります。特にCOVID-19は2019年末に発生し、今なお世界中に影響を及ぼしています。

コロナウイルスはウイルスの表面に「スパイク」と呼ばれる突起を持つ球状の形状が特徴的です。このスパイクが宿主の細胞に付着し、感染を引き起こす重要な役割を果たします。スパイクが「王冠」のように見えることから、ラテン語で「王冠」を意味する「コロナ」という名前がつけられています。

ウイルス感染の予防

一般的な風邪ウイルス、インフルエンザウイルス、そして新型コロナウイルス、それぞれが異なる特性を持つことが分かりました。普段何気なく使っている「風邪」という言葉の背後には、さまざまなウイルスが息づいているのです。 しかし、どのウイルスに関しても共通で私たちが日常生活でできることは、手洗いやうがい、適度な栄養摂取と睡眠を心掛けることで、ウイルスに対抗する力を身につけることです。

ウイルスは低温、乾燥した空気中では生存期間が長いため、室温や湿度を上げることもウイルス予防には効果的です。冬であれば室温20度〜25度、湿度50%〜60%ほどに保ちたい所です。また最近ではウイルス除去が可能な空気清浄機も増えてきました。株式会社フジコーの試験データでは下記のグラフのように一般的なフィルターでは除去効果低く、光除菌フィルターであれば、かなりウイルスを不活性化できるというデータが出ています。
それぞれのウイルスの特性を理解し、正しい知識を持つことが、これらのウイルスと上手に付き合っていくための第一歩です。

インフルエンザウイルス除去
コロナウイルス除去