今年は全国的に梅雨入りが遅れ、蒸し暑い日々が続いています。梅雨が終わると、いよいよ夏がやってきますね。しかし、日本の湿度の高い気候では、梅雨時期と同様にカビ対策を続けることが大切です。特にエアコンは夏のカビ対策の要です。エアコンのカビ対策を行うことで、夏風邪と勘違いしやすい「夏型過敏性肺炎」を防いだり、省エネにもつながったりします。

それって本当にただの夏風邪?夏カビが原因の「夏型過敏性肺炎」
夏のカビが原因で発症する「夏型過敏性肺炎」という病気があります。日本では特にトリコスポロン・クタネウム(Trichosporon cutaneum)というカビが原因となることが多いです。このカビは、家庭のエアコンのフィルターやダクト、押し入れ、畳など湿気の多い場所で繁殖しやすいです。「夏型過敏性肺炎」は風邪や他の肺疾患と症状が似ているため、見分けが難しいことがあります。発熱、咳、倦怠感などの症状が出ることがあり、夏風邪だと思っていたら長引く咳が続くことも。そんな時は、呼吸器内科を受診してみるといいでしょう。何はともあれ、「夏型過敏性肺炎」を防ぐためにもエアコンのカビ対策は不可欠です。

エアコンでカビが発生するメカニズム
エアコンの内部には冷却フィン、フィルター、ドレンパンなどの部品があります。これらの部品は冷房運転時に結露が発生しやすい環境を作り出します。結露とは、空気中の水分が冷たい表面に触れて水滴となる現象です。この水分が長時間残ることで、カビの発生条件である湿度が保たれます。
- 湿度の上昇: 冷却フィンは冷たい空気を作り出す過程で結露します。この結露水がエアコン内部に溜まり、湿度が高くなります。
- ホコリの蓄積: フィルターに溜まったホコリや汚れがカビの栄養源となります。フィルターが汚れていると、エアコン内部の通気性が悪くなり、湿気がこもりやすくなります。
- 適温環境: カビは温度が20~30度の環境で繁殖しやすいため、冷房運転中やその直後の室内温度はカビにとって理想的な環境となります。
エアコンのカビ対策
エアコンのカビの発生を防ぐためには、もちろんエアコンをきれいに保つことが大事です。この時期になるとエアコンクリーニングの広告をよく目にします。エアコンクリーニングの料金相場は、通常のエアコンで7,000円〜12,000円、最近多いお掃除機能付きエアコンだと1台で16,000円〜20,000円と言われています。少し勇気のいる金額なので、自分でできる日常的なメンテナンスと適切な使用方法を実践しましょう。
以下に具体的な対策を紹介します。

- 定期的な清掃: エアコンのフィルターは定期的に掃除しましょう。水洗いや掃除機でホコリを吸い取るだけで十分です。冷却フィンやドレンパンなどが汚れた場合、自分で清掃するのは難しいので、その時は専門業者に依頼して清掃することをおすすめします。
- 使用後の送風運転: 冷房運転後に送風運転を行うことで、エアコン内部の湿気を飛ばし、カビの発生を抑えます。送風運転は約30分程度行うと効果的です。最近のエアコンは自動で乾燥させる機能が付いているものもあります。
- ドレンホースの確認: ドレンホースが詰まっていると、結露水がエアコン内部に溜まり、カビの原因となります。定期的にドレンホースの通水状態を確認し、詰まりがあれば掃除しましょう。
- カビ防止剤の活用: 市販のエアコン用カビ防止剤を使うことで、カビの発生を予防できます。これらの製品はエアコンの吸気口付近に設置するだけで効果を発揮するため、手軽に導入できます。
エアコンのカビ対策をしっかり行うことで、快適な室内環境を維持し、健康リスクを減らすことができます。またこまめな清掃は省エネにもつながります。日々のメンテナンスを怠らず、エアコンを清潔に保ちましょう。